※以下 川名潤さん=川、清水良洋さん=清、関善之さん=関、オザワ=オ
お待たせしました!
いよいよ清水さんの『日本語のゆくえ』(吉本隆明/光文社)のお話1回目です。
清 「吉本さんて、詩人じゃないですか。
でも、吉本さんはこの本ができた2008年頃までのかなりの年月、
現代詩に関しての評論をされてこなかったそうなんです。
現代詩に関しての評論をされてこなかったそうなんです。
しかし、お年も召されて、足も悪くなられた折、
東京工業大学で、芸術論や詩のことをビデオ講義することになって、
改めて、現代詩の人たちの作品を読んだそうなんですよ。
そこで思わず出た言葉は『ムムッ、無だぁ〜』なんですって(笑)
詩の中に自然観が語られていないことにびっくりされ、
『日本語はどうなってしまうんだ』って思われたそうです。
それでこの本は、その東京工業大学の講義が元になっているんですが、
今までの吉本さんの本ていう佇まいではなく、どこか崩れた感じっていうか、
『よしもとばななさんのお父さんでしょ?』
くらいの人も興味を持って買ってくれる本にしよう、
ってことになったんですね。
ってことになったんですね。
で、ゲラを読んでみて、確かに自然が見えてこないということを語られていて、
ならばその辺を表現しようと考えて、
<デュプレ>というクラフトペーパーをカバー等に使ったんです。
<デュプレ>って紙は片面がクラフト紙のままですが、片面は白。
つまり晒クラフトと未晒クラフトの抄き合せの紙なんです。
カバーの表は白で、めくった裏側(見えない部分)に
自然を感じるクラフト面が隠れているという案配です。
表紙もクラフト紙にしているので
カバーをめくると、表からはイメージ出来ない
カバー裏と表紙のクラフト紙一面の世界がバっと広がるんですね
表には〈自然的な世界〉が見えて来ない、という見立てなんです。
それで、こうして日の丸も『ぽつん』とあって。
またこの赤い丸も正円でない、ちょっと歪んだ楕円なんですよ」
川・関「うんうん」
清 「これ、ほら、背もね、こんな感じで。
文字を白のオペークインキで刷ってるんですが
クラフト紙だから、
通常ならオペークに白は2度刷りとか3度刷りとかやるんだけど、
通常ならオペークに白は2度刷りとか3度刷りとかやるんだけど、
こう見えるか見えないかくらいに印刷してあるわけ。
背の日の丸も、文字を上に乗せて見え隠れする感じにしたんですよ」
この間、川名さん、関さんは、清水さんの説明を感心して聞いています。
オ 「こうして紙の種類や印刷方法で本の中身である
『自然や日本語の危うさ』を表現してるわけですね」
おもしろいですね。
デザイナーさんは、いろんな方法でその本の中身を表現する努力をしているんですね。
これからは、装丁のひとつひとつの意味を考えたくなります。
<お知らせ>
・清水さん、川名さん情報
東京・外苑前/ギャラリーDAZZLEにて『ポスターを描く3』に参加。
※清水さんはこの展示の企画・運営もされています
・関さん情報
明治大学 中野キャンパス オープン記念講座『漫画のデザイン』講師として参加