2012年6月28日木曜日

川名さん『きつねのつき』について<2>


大変長らくお待たせしました!
川名さんの『きつねのつき』(北野勇作/河出書房新社)のお話2回目です。


関 「これは1回、白、刷ってるんですか?
   
川 「いえ、クラフト紙の白ですね」

清 「こういうやつ。(ご自身が持っていらした『日本語のゆくえ』を取り出す)」
















関・オ 「おお〜」

川 「一緒ですね」

清 「よく使うんだよ」
   
写真をクリックすると拡大できます















関 「これ、オビのところ。
   右のほうは字間が空いてるのに左のほうは字間が詰まってるんですね。
   左の詰まってるほうに字間を合わせないんですね。
   天地を取ったってことですよね?
   おもしろいなあ」

川 「わー。なんか、今、緊張してきた(笑)」

関 「いやいや、こういうのもおもしろいじゃない。
   自分だったらやらないんだけど、こういうのっておもしろいじゃない。
   だから、人の仕事はおもしろいんです」

清 「この書体は何?」

川 「これはですねー。『くれたけ』ですね」

関 「こういうかわいい書体、いっぱい使いますよね」

川 「そうですね。
   わりとカワイイものオファーが増えてきたので」

関 「書体が少ないんで、自分で作っちゃったりしますよね。
   あまく(=少しぼかす感じに)したりして作るんです」

清 「あまくするのって、フォトショ(=フォトショップ)へ持って行くの?」
   ガウスかけてもう1回、二階調にして戻してって感じ?」

関 「そうです。そうです」

清 「『くれたけ』は古いのがかわいかったりするよね」

川 「そうですね」

清 「漢字は何を合わせてるの?」

川 「そうですね。イワタの昔のCIDかなんかを角を落としたりしてますね」

清 「なるほど。そうしないと合わないもんね」



次回はさらにこの本のかわいさにこだわった部分に入っていきますよ。

2012年4月13日金曜日

川名さん『きつねのつき』について<1>

※以下 川名潤さん=川、清水良洋さん=清、関善之さん=関、オザワ=オ


















川名さんの『きつねのつき』(北野勇作/河出書房新社)のお話1回目です。
























川 「この本はですね。
   関さんのパープルヘイズぐらいにけっこうラフを描いたんですよ」


関 「ああ、そうなんだ」


オ 「そして、イラストはどなたかにちゃんと頼まれたんですね」


川 「そうです。
   西島大介さんという漫画方の方にお願いして」


オ 「『これ、自分で描いちゃおう』っていうことはないんですか?」


関 「それはやっぱりダメでしょう(笑)
   僕も自分で描こうとしたこともありますけど、
   たいてい作家さんやイラストレーターさんにお願いしましょう
   ってなりますね」


川 (笑)


清 「関さん、特に漫画(の装丁)ですもんね。
   漫画家さんの作品は無理でしょうけど、
   読み物の本のときに自分の絵を使っちゃうって考えないんですか?」


関 「いや、ありますよ。
   だから、ラフのときに自分のタマ(絵)も入れちゃっとくんです(笑)」


オ 「それで使用されたことはありますか?」


関 「ないですね。
   やっぱり作家さんやイラストレーターさんの名前が欲しいですしね」


オ 「そういうもんですか。やっぱり。
   そして、『きつねのつき』は...」


川 「はい。
   僕もラフをけっこう描いて一案として出してたんですけど、
   西島さんに実際に原稿を読んでいただいて、
   できあがってきたのを見ようと話していたら、
   わりと全然違うものが出てきたんです。
   そして、やっぱりこっちがいいね、となりまして」
   
関 「ああ」


川 「そして、西島さんの案に乗っかって作った形ですね」


オ 「なるほど」


川 「だから、自分のラフは
   イラストレーターさんにお願いする際の
   きっかけにしかなってないですね。
   こういう絵をお願いします、っていう」


関 「うん。
   実は、みなさん、ゼロからイラストってなかなか浮かばなくて、
   『こういうことをわたしは考えました』って
   いうことをお伝えすると、
   『自分だったらこうするよ』とか
   『ああ、いいですね』って返ってきますからね。
   だから、そういうきっかけは僕らが投げなきゃですよね」


清 「そうだよね」


川 「なかなか、『おまかせします』って。
   失礼で言えないって言うか」


オ 「人によってはおまかせでいいかもしれないですけど」


関 「そうですよね」


オ 「自分なんかも指示していただいたほうがいいですね。
   『おまかせで』って言われても
   たぶん『どんなのがいいですかね」って聞いちゃいますね」


イラストレーターでもあるオザワ。
やや雄弁になっており、録音を聞きながら恥ずかしく思ったり...。
次回は紙や印刷についてのお話になっていきますよ。


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関さん『恥知らずのパープルヘイズ』について<3>

※以下 川名潤さん=川、清水良洋さん=清、関善之さん=関、オザワ=オ


関さんの『恥知らずのパープルヘイズ』(上遠野浩平・荒木飛呂彦/集英社)についてのお話、3回目です。




















清 「これ(タイトル文字)、加工したんですか?切ったりとかして」

関 「そうです。
   映画のポスターみたいにしたいなあ、と思って

清 「ああ〜。」

関 「割とちょっと昔の映画のタイトルみたいにしようと思って。
   これはゴシックのMB101-Uを使用してて、それを削っていったんですね」


川 「MB101-U使用してるんですね」

関 「はい。
   それを削ったり、伸ばしたり、尖らせたりして」

清 「バランス作って」

関 「そうです。
   一から作るときもあるんですけど、
   このときはしっかりした書体のほうが合うかなって」

清 「合ってます」

関 「なので、敢えてフォントを使用して加工することで、
   イメージする映画のタイトルっぽく作れるかな、と。
   なつかしいような、少しかわいいような」

清 「そして、色は「紫」と」

関 「そうです。中とか何もかも紫にしてね」

清 「なるほどねえ。
   さあ、次は川名さんですね」


というわけで、次回は川名さんの本についてです。
今回、まとめて2回分アップいたします。
そちらもどうぞお楽しみ下さい。




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2012年3月9日金曜日

関さん『恥知らずのパープルヘイズ』について<2>

※以下 川名さん=川、清水さん=清、関さん=関、オザワ=オ


関さんの『恥知らずのパープルヘイズ』(上遠野浩平・荒木飛呂彦/集英社)についてのお話、2回目です。


川 「関さんて、漫画うまいですよね」

関 「一番理想だったのは、絵を描いてお金がもらえたらよかったんですよ。
   でも、そういうわけにいかなかったので。
   それに近い仕事をしているうちに辿り着いたのが、漫画を扱うデザイナー」


川 「ああ〜」


関 「なので、ラフも切れるんですよ。
   こんな感じでっていう絵が描けるので、
   イメージのキャッチボールがしやすいんです」

清 「じゃあ、カバーを描き下ろしてもらうときも
   場合によっては関さんが描いたりするの?」

関 「先にこっちでボールを投げちゃうんです」

オ 「こんな感じの絵を描いてっていうのを描いちゃうんですね?」

清 「ああ〜。今、おもしろい話してんなあ(笑)」 

川 (笑)

オ 「あ!これ!ラフですか?」

清 「この『パープルヘイズ』の!?」

川 「これは見たい!」


*写真をクリックすると拡大できます


















関 「ここまで、パン!て出しちゃうんです」

川 「焼き上がってるじゃないですか(笑)」

関 「とにかく荒木飛呂彦さんがお忙しい方なので、カラーはやめようと。
   基本的に銀色の本にしたい、ということをお話しして。
   この表紙のキャラクターはフーゴが放つ、
   パープルヘイズというスタンドなんですけど、
   (『ジョジョの奇妙な冒険』という漫画の設定)
   パープルヘイズは鎧を着てるようなキャラクターだったので外側を鎧にしようと」

川 「なるほど」

関 「できればメタリックな感じで行こうと。
   そして、パープルなんで、内側はもう紫で行こうと」




















オ 「おお!鮮やか!」

関 「ということで、三方吹き付けから、見返しから、すべて紫にしたんです。
   中は紫。それを包む、この鋼の本。
   鉄板みたいな本が、本屋さんにガン!って置いてあったらおもしろいかな、
   っていうところから始まった本ですね」

オ 「なるほど」

関 「今回はスタンドであるパープルヘイズの名前がタイトルに入っているので
   カバーはパープルヘイズがメインのイラスト。
   本来はスタンドなんで逆なんですよね。
   この内側のフーゴが前に来るはずなんです。
   でも、敢えて。
   タイトルのパープルヘイズに合わせて、スタンドが前に。
   で、中は逆にしましょう、ということで、本人が中」

川 「逆から決まっていったんだ」

関 「表と中が違うんですよね。
   ということで、それぞれ描いてもらえるか、打診してもらって。
   でも、荒木さんのほうから、おもしろいものが出るようであれば、
   こちらからも返して、キャッチボールしましょう、ということだったんですけど、
   『これでいいじゃない』ということになって」

川・清「ああ〜」

関  「『描きますよ』と言って下さって。
    『2点描けばいいんですね?』ってすぐにわかっていただけたんです」

川・清「なるほど〜」

オ  「川名さんや清水さんは、イラストレーターさんにイラストをお願いする際、
    どこまでのラフを描かれるんですか?」

川  「人によるけど...。だいたい描いちゃうかな」

清  「オレも、もう人によるね。
    絵の精度は別にしろ、指示するときもあるし、まかせちゃうときもあるかな」
   
   



2012年1月31日火曜日

関さん『恥知らずのパープルヘイズ』について<1>

※以下 川名さん=川、清水さん=清、関さん=関、オザワ=オ


長らくお待たせしてしまい、申し訳ありません。
年をまたいで1ヶ月ぶりの更新となってしまいました。



さっそく関さんの『恥知らずのパープルヘイズ』(上遠野浩平・荒木飛呂彦/集英社)についてのお話です。






















関「この本は、アルグラス(キラキラした特殊な紙)でやりたかったんです。
  だけど、結局、予算などの面から無理で、結果的に蒸着PETの銀になったんですよ」


オ「当初考えていたものではなかったんですね」


関「でも、本の出来上がりを見た時には、遜色なかったかな、って」


清「いやいや、効果的ですよ」


関「アルグラスのほうがよりギラッとするんですけどね」


川「そうですね」


関「インキとしては紫と黒と白と目のところの黄色だけで。
  白はオペーク(半透明インキ)で、白を刷った上に紫もスミも乗せてます。
  で、オペークの白を30%くらいにすると、半透明な感じになるわけです。」


川「え?じゃあ、これ、オペーク1回ですか?キレイに乗ってますね」
 ※オペークインキはなかなかきちんと紙に乗らず、2度刷りすることが多いのだそうです


関「そうなんですよ。
 (鼎談時に言い切っていますが僕の勘違い。
  後で確認すると制作の方で指示せずとも気を使ってくれて
  2度刷りにしてくれていたそうです/関さん追記)
  あと、これ、オビが。
  『できればオビがないといいのに』って」


オビが着いていない状態






















川「関さん、オビを嫌うほうですか?」


関「モノによりますね。
  『パープルヘイズ』の場合、オビはずした時の方が全体にギラギラ感が出るでしょ。
  あと、この本は「ジョジョ小説プロジェクト」情報がメインだったんで
  欲を言えばカッコいいキャッチ(コピー)メインでやりたかったなあ、と。 
  不思議と、いいキャッチに出会った時ってキレイに入りませんか?
  文字数もちょうどキレイに収まったりして」


川・清・オ「ああ〜」


関「僕の場合ラフの段階で仮キャッチを入れちゃったりするときもあるんですよ。
  それをたまに、編集さんが「いい」って言ってくれて使ってくれるときとか(笑)
  本来、編集さんがキャッチを考えてきてくれるものですが
  時には一緒に考えることもありますし。
  文字のバランスとか、いいとこで区切れるのができると、ほんとスッと入るんです」


川「うん」


関「でも、このオビは情報なんで」


川(笑)


関「『どう入れよう?』って」


清「ああ、そういう意味か〜」


関「このオビの場合だと逆に情報量がたくさんあった方が
  文字の大小もつけられてもう少しうまく収められたかなって


清「情報の量として中途半端ってことだよね」


関「今回の場合は『ジョジョ小説プロジェクト』を伝えるのが最優先なので
  仕方ないんですけどね




いいモノができるときというのは、どんなモノにおいても、スッとできるのだなあ、と思いながら、このお話を興味深く聞いていました。
 
もちろん、苦労して苦労して試行錯誤を重ね、生まれる素晴らしいモノもあります。


しかし、そこに存在すべくして、なんの抵抗もなく何かができあがるときというのは、それに対し、なんとも言えない腑に落ちた感があり、受け手を自然に納得させるような力を持っていることが多いような気がします。


また、そのスッと何かが生まれる、というのは、この場合はコピーですが、対峙するものに対し、自分が愛を持てているときなんじゃないかな、と思います。


そうした愛のようなものをデザインから感じるときもありますし。


あくまでも、わたし(オザワ)の考察なんですけど。


  
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