※以下 川名さん=川、清水さん=清、関さん=関、オザワ=オ
オ「これ、すごく聞きたかったんですけど。
みなさんの仕事の『落としどころ』。
デザインとか、やり出すとキリがないじゃないですか。
どこで『もうこれでいい』って決められますか?」
川・関「ああ」
清「それはイラストも一緒じゃない」
※編集人オザワはイラストレーターでもあります
オ「そうなんです、そうなんです。
だから、聞いてみたかったんです」
川「タイムリミットですね」(即答)
清・関「ああ〜」
オ「なるほど」
清「基本はそこですよ」
関「そうですね」
清「相手によって延ばせるときは延ばしてね。
でも、まあ、スパンスパンと決まるときもあるし。
あとは自分が納得する、ってことだよね」
「これは次々とお仕事がやってくる、今まさに活躍されている方々故の話だなあ」
と思うのと同時に、
「このお三方でさえも、いつも自分を納得させることができているわけではないんだなあ」
とも思いました。
わたしは自分の作ったものに「OK」を出すというのは、
なかなか難しいことだと感じています。
デザインもイラストも感覚的なもので、
自分の中の測定器でしか「よし悪し」を量れないこの不可解なものを、
こうした第一線で活躍される方達でさえ、
いつもいつも操り切れているわけではないのだ、と励まされた気がしました。
清水さんと関さんは年齢的にも会社が受ける別のスタッフの作業を管理する立場だったりもします。
そんなデザイナーとは別の側面のおはなし。

※以下 川名さん=川、清水さん=清、関さん=関、オザワ=オ
清「関さんのところは、会社としてもすごい数をこなしてるでしょう。
スタッフさんの作業とか見てるの?」
関「スタッフに任せてますけど、それは責任者として見てます」
清「大変だねえ」
関「でも、もう僕みたいな年になって言うのもなんだから、
若い人が『いい』と思うならいいかなあ、って(笑)」
川(笑)
オ「う〜ん。なるほど」
清「ああ、わかるわかる」
関「『僕の発想とは違うかな~』って思っても信用して
『行こう!』っていうようなのは増えてきました(笑)」
清「そのときは一応言うの?『オレは違うなあ、って思うんだけど、いいや』って。」
関「そうは言ってもダメなものはちゃんとボツ出しますよ。
逆にいいときはすごい褒める」
清「ああ」
関「『これ、いいじゃん。すごい、いいじゃん』
ていうことは言うけど、
まあ、普通か〆切ギリギリでどうしても迷うときは、
『う~ん...。まあ、いっかあ』って」
清「一応ニュアンスは伝えるんだ」
関「それをフルでやっていると仕事が終わらない(笑)」
川「あはははははは」
デザイナーとは違う側面の話ではありますが、
デザインというものがあくまでも仕事であって、
どこか一歩引いたものであり、
作品ではないことが垣間見られるおはなしだと思います。
それにしても、川名さんは口数は少ないけれど、ほんとに楽しそうに声を上げて笑います。
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雑誌「hito」05号の「hitoインタビュー」では、3人のブックデザイナー、
川名潤さん、清水良洋さん、関善之さん(五十音順)に
それぞれ今までに手がけれられた本を数冊ずつお持ち寄りいただいて、
鼎談(ていだん)をしていただきました。
本誌では、
川名さん=『非国民手帖』
清水さん=『本日の水木サン』
関さん=『ラ・プティット・ファデット』
に、ついてのお話を中心に掲載させていただきましたが、
たいそう盛り上がって4時間にも及んだ鼎談は、
掲載し切れなかったお話がたくさんあります。
お持ちいただいたほかの本のこと、デザインのこと、
こちらで少しずつ紹介していきます。
※写真は鼎談会場となった神保町のヒナタ屋さんの入口ドア
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