2012年1月31日火曜日

関さん『恥知らずのパープルヘイズ』について<1>

※以下 川名さん=川、清水さん=清、関さん=関、オザワ=オ


長らくお待たせしてしまい、申し訳ありません。
年をまたいで1ヶ月ぶりの更新となってしまいました。



さっそく関さんの『恥知らずのパープルヘイズ』(上遠野浩平・荒木飛呂彦/集英社)についてのお話です。






















関「この本は、アルグラス(キラキラした特殊な紙)でやりたかったんです。
  だけど、結局、予算などの面から無理で、結果的に蒸着PETの銀になったんですよ」


オ「当初考えていたものではなかったんですね」


関「でも、本の出来上がりを見た時には、遜色なかったかな、って」


清「いやいや、効果的ですよ」


関「アルグラスのほうがよりギラッとするんですけどね」


川「そうですね」


関「インキとしては紫と黒と白と目のところの黄色だけで。
  白はオペーク(半透明インキ)で、白を刷った上に紫もスミも乗せてます。
  で、オペークの白を30%くらいにすると、半透明な感じになるわけです。」


川「え?じゃあ、これ、オペーク1回ですか?キレイに乗ってますね」
 ※オペークインキはなかなかきちんと紙に乗らず、2度刷りすることが多いのだそうです


関「そうなんですよ。
 (鼎談時に言い切っていますが僕の勘違い。
  後で確認すると制作の方で指示せずとも気を使ってくれて
  2度刷りにしてくれていたそうです/関さん追記)
  あと、これ、オビが。
  『できればオビがないといいのに』って」


オビが着いていない状態






















川「関さん、オビを嫌うほうですか?」


関「モノによりますね。
  『パープルヘイズ』の場合、オビはずした時の方が全体にギラギラ感が出るでしょ。
  あと、この本は「ジョジョ小説プロジェクト」情報がメインだったんで
  欲を言えばカッコいいキャッチ(コピー)メインでやりたかったなあ、と。 
  不思議と、いいキャッチに出会った時ってキレイに入りませんか?
  文字数もちょうどキレイに収まったりして」


川・清・オ「ああ〜」


関「僕の場合ラフの段階で仮キャッチを入れちゃったりするときもあるんですよ。
  それをたまに、編集さんが「いい」って言ってくれて使ってくれるときとか(笑)
  本来、編集さんがキャッチを考えてきてくれるものですが
  時には一緒に考えることもありますし。
  文字のバランスとか、いいとこで区切れるのができると、ほんとスッと入るんです」


川「うん」


関「でも、このオビは情報なんで」


川(笑)


関「『どう入れよう?』って」


清「ああ、そういう意味か〜」


関「このオビの場合だと逆に情報量がたくさんあった方が
  文字の大小もつけられてもう少しうまく収められたかなって


清「情報の量として中途半端ってことだよね」


関「今回の場合は『ジョジョ小説プロジェクト』を伝えるのが最優先なので
  仕方ないんですけどね




いいモノができるときというのは、どんなモノにおいても、スッとできるのだなあ、と思いながら、このお話を興味深く聞いていました。
 
もちろん、苦労して苦労して試行錯誤を重ね、生まれる素晴らしいモノもあります。


しかし、そこに存在すべくして、なんの抵抗もなく何かができあがるときというのは、それに対し、なんとも言えない腑に落ちた感があり、受け手を自然に納得させるような力を持っていることが多いような気がします。


また、そのスッと何かが生まれる、というのは、この場合はコピーですが、対峙するものに対し、自分が愛を持てているときなんじゃないかな、と思います。


そうした愛のようなものをデザインから感じるときもありますし。


あくまでも、わたし(オザワ)の考察なんですけど。


  
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2011年12月26日月曜日

何をもってして完成とするか

※以下 川名さん=川、清水さん=清、関さん=関、オザワ=オ


オ「これ、すごく聞きたかったんですけど。
  みなさんの仕事の『落としどころ』。
  デザインとか、やり出すとキリがないじゃないですか。
  どこで『もうこれでいい』って決められますか?」

川・関「ああ」

清「それはイラストも一緒じゃない」
  ※編集人オザワはイラストレーターでもあります

オ「そうなんです、そうなんです。
  だから、聞いてみたかったんです」

川「タイムリミットですね」(即答)

清・関「ああ〜」

オ「なるほど」

清「基本はそこですよ」

関「そうですね」

清「相手によって延ばせるときは延ばしてね。
  でも、まあ、スパンスパンと決まるときもあるし。
  あとは自分が納得する、ってことだよね」



「これは次々とお仕事がやってくる、今まさに活躍されている方々故の話だなあ」
と思うのと同時に、
「このお三方でさえも、いつも自分を納得させることができているわけではないんだなあ
とも思いました。


わたしは自分の作ったものに「OK」を出すというのは、
なかなか難しいことだと感じています。

デザインもイラストも感覚的なもので、
自分の中の測定器でしか「よし悪し」を量れないこの不可解なものを、
こうした第一線で活躍される方達でさえ、
いつもいつも操り切れているわけではないのだ、と励まされた気がしました。



さて、次回からいよいよ本誌に掲載できなかった分の
それぞれ皆さんの本の解説が始まりますよ。
お楽しみに。




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2011年12月24日土曜日

会社の責任者としてのおはなし

清水さんと関さんは年齢的にも会社が受ける別のスタッフの作業を管理する立場だったりもします。
そんなデザイナーとは別の側面のおはなし。


12:21分



※以下 川名さん=川、清水さん=清、関さん=関、オザワ=オ


清「関さんのところは、会社としてもすごい数をこなしてるでしょう。
  スタッフさんの作業とか見てるの?」

関「スタッフに任せてますけど、それは責任者として見てます」

清「大変だねえ」

関「でも、もう僕みたいな年になって言うのもなんだから、
  若い人が『いい』と思うならいいかなあ、って(笑)」

川(笑)

オ「う〜ん。なるほど」

清「ああ、わかるわかる」

関「『僕の発想とは違うかな~』って思っても信用して
  『行こう!』っていうようなのは増えてきました(笑)」

清「そのときは一応言うの?『オレは違うなあ、って思うんだけど、いいや』って。」

関「そうは言ってもダメなものはちゃんとボツ出しますよ。
  逆にいいときはすごい褒める」

清「ああ」

関「『これ、いいじゃん。すごい、いいじゃん』
  ていうことは言うけど、
  まあ、普通か〆切ギリギリでどうしても迷うときは、
  『う~ん...。まあ、いっかあ』って」

清「一応ニュアンスは伝えるんだ」

関「それをフルでやっていると仕事が終わらない(笑)」

川「あはははははは」


デザイナーとは違う側面の話ではありますが、
デザインというものがあくまでも仕事であって、
どこか一歩引いたものであり、
作品ではないことが垣間見られるおはなしだと思います。

それにしても、川名さんは口数は少ないけれど、ほんとに楽しそうに声を上げて笑います。






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はじめに



























雑誌「hito」05号の「hitoインタビュー」では、3人のブックデザイナー、
川名潤さん、清水良洋さん、関善之さん(五十音順)に
それぞれ今までに手がけれられた本を数冊ずつお持ち寄りいただいて、
鼎談(ていだん)をしていただきました。


本誌では、

川名さん=『非国民手帖』
清水さん=『本日の水木サン』
関さん=『ラ・プティット・ファデット』

に、ついてのお話を中心に掲載させていただきましたが、
たいそう盛り上がって4時間にも及んだ鼎談は、
掲載し切れなかったお話がたくさんあります。

お持ちいただいたほかの本のこと、デザインのこと、
こちらで少しずつ紹介していきます。


※写真は鼎談会場となった神保町のヒナタ屋さんの入口ドア


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