2012年11月7日水曜日

川名さん『きつねのつき』について<3>

※以下 川名潤さん=川、清水良洋さん=清、関善之さん=関、オザワ=オ





大変、大変、長らくお待たせしました。
なんと4ヶ月ぶりの更新です...。
川名さんの『きつねのつき』(北野勇作/河出書房新社)のお話3回目です。


関 「中もフランス装にしてるし、かわいいですね」

清 「これはクライアントから出たの?
   
川 「ああ。これは編集者が『フランス装にしたいです』ということで」

清 「おお〜。いいねえ」

関 「じゃあ、それは乗っかっちゃいますよね(笑)」


フランス表紙















清 「こうやって紙を縁に折り込んだ装丁」


川 「このくるっとなった状態の表紙をフランス表紙って言います」


関 「本来、これは本を作り直すっていう仮定の下に作られてるんです。
   でも、日本ではそれがおしゃれだな、って感じたんでしょうね。
   なので普段そのまま表紙としてあしらわれていますよね」

川 「そうですね。
   たしかにこの本は、おしゃれになったらいいなと思って作りました(笑)」

清 「ヨーロッパとかでは、紙の束で売っていて、自分で好きなように作り直すんです。
   自家製本って言ってね。
   ほら、横も『化粧断ち』って言って、キレイに断裁されてるのが普通なんだけど、   これ、キレイに断裁されてないんですよね」

オ 「これは、なんて言うんですか?」

川 「『天アンカット』です。『天』をカットしないんです。
    古い本の雰囲気になるんですよね」

天アンカット ※写真をクリックすると拡大できます















関 「アンカット本てね、断裁してないからページが袋綴じになっていて、
   自分で開かないといけない本とかもあるんですよ」

川 「そう。本当はそれが本来のフランス装ですね。
   でもそれじゃあ、さすがに今は不便なので、
   きちんと裁断した本文に、フランス表紙をくっつけてる。
   正式には『仮フランス装』って名前です。
   普段は『本フランス装』なんて贅沢な本を作れる機会がないので
   『仮』を略しちゃうことが多いんですけど」

関 「本ていうのは、本来、お金持ちの楽しみだったと思うんですよ。
   なので、1ページずつ割いて、時間をかけてゆっくり読書していたんでしょうね」

清 「ペーパーナイフで『ぴっ』ってね。
   向こうは封筒とかもそれで開けたりするじゃない。
   そういう文化なんだよね」

関 「これはとにかく、かわいい本ですよね」

川 「ありがとうございます」
   


この本のかわいさを通して、たくさん、本についての知識が学ぶことができました。


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<お知らせ>
・清水さん、川名さん情報
 東京・外苑前/ギャラリーDAZZLEにて『ポスターを描く3』に参加。
 ※清水さんはこの展示の企画・運営もされています

・関さん情報
 明治大学 中野キャンパス オープン記念講座『漫画のデザイン』講師として参加
https://academy.meiji.jp/course/detail/959/

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